GXR A16 と複雑な思いのあれこれ。


 A16ユニット、
2日間で100枚程試写しましたが、
広角端が使い物になりません。
広角端の湾曲が、まるでネオデジに付ける一昔前の汎用ワイコンかのようなタル型で、
この件は事前に承知で覚悟していたのですが、適切に絞っても周辺がかなり甘く、
私レベルのものが精査してでも結構気落ちするレベルで、
対処のしようが見当たりません。

 ズーム中間域に限っては、
周辺も実に素直な良い描写と線とディテールで、
遠景背景のヌケはローパスレスらしく見心地の良いもので、
ステップズームで35mmと50mmの2焦点カメラと考えれば、
実に胸をすく「らしい」画質な部分もあります。
高感度は1600万画素APS-C平均点でしょうか。
ですが、そうした画角域でも、フリンジ除去が自分で出来る事が
使用して行くに際しての必須条件になりそうです。

 広角端での湾曲は自分の手で補正してまっすぐ直せる素直なものだけど、
周辺の解像の甘さだけは僕がお金持ちですぐに買い替えられるなら
この不満要因だけで即日売却に値すると判断した事でしょう。
人によってはこの事でRICOHが嫌いになる事もある位な事象に僕は思いました。
発売直後からメーカーも雑誌にすらセールスを推さなかった事、
プロさんがみながまるで貝かのようにA16を話題を出さない事、
値落ちの少ないRICOHにしては異例の早期ペースでの価格下落らの事から、
この辺の見えない僕の感じた事情に、きっと多くの人が感づいたただろう事が原因かもで
大きさやスタイルやF値の暗さや手ブレ補正が無い事が要因ではないのではという
真の根拠がS10ながらもRICOHを所有し、信頼してるRICOH画質愛から
湾曲はあっても広角端周辺画質のこれほどまでの甘さがあるとは判断出来ませんでした。
VC無しでこの大きさであるのは他にない24mmスタートと、GRを名乗らないにしても
ローパスレスを発揮出来る画質確保の為のサイズだと誰しもが間違い無く思った事でしょう。

 

 D700、D7000ユーザーである僕が、
昨年X-Pro1とD800Eをひと月借りたが故にD600にもD7100にも行けず、
こうした授業料を払ってみた訳ですが。。。
今日の所の心境はとても複雑です。
中心画質は広角端から望遠端まで絞り開放から全域で奇麗な描写をするだけに。。
 

 ここから下は作例添付し
感想を添えたいと思います。
共通項としてどのカットもRAW撮影でライトルーム4で展開し
色収差の除去をしている事を先に付け加えます。
アドビライトルーム4でオリジナルサイズ350dpiでjpeg化しています。
クリックで等倍で精査してみて下さい。

 

http://ganref.jp/m/cozyphoto/reviews_and_diaries/review_photo/4471/43162

 

サムネイル↓

湾曲補正をしています。
原版の湾曲はあまりにひどいので、購入した1人としてと
RICOHさんへの愛と名誉の為に出したくない気分です。

 

 

拡大リンク

 

中遠景での何じゃコレなヌケと描写はサスガなローパスレス画質ですね。

ビルの小窓のどこまでも見事な写り、思わず唸って見入ってしまいますね。
ただ、この絞りでの周辺画質、バスのところとかを御覧頂きたい。
僕、結構ショックで買って良かったのか悪かったのかモヤモヤしています。
四隅の画質のモヤモヤのように。

拡大等倍りんく

 

良いトーンですよね。
黄色いポールのハイライトからスポット測光しています。
タイヤ質感とか樽の灰皿とかぶら下がったミニカーとか目に等価な良い描写ですよね。
光と影のトータルのニュアンスとか実に好ましいですね。

拡大等倍リンク

 

バッグの金具の質感、白いプレートの細かい英字の描写にはびっくりします。
白のプレートの様々なハイライトの中の色んな要素も実に好ましいですね。

拡大等倍リンク

 

ISO3200広角端絞り開放です。
湾曲補正しています。
グリーンフィルターをシュミレートしたモノクロ変換の操作以外
特別な事は一切してません。ノイズも触っていません。
ピンは受話器受けの金具、この感度の中でとてもディテールが残っています。
全体のトーン、モノクロの中でのハイライトもシャドウもどちらも繋がりも良く
豊かでガラスの反射やメッキの質感もこの感度域ですら見事です。

素敵な出会いを逃さず写すのも写真の一番の醍醐味。
シャドウを持ち上げたので画質が荒れてしまったのはカメラのせいではなく
僕のせいであります。
とても酷い湾曲を補正しトリミングましたが、
このカットそのものの思い出の中身は一切補正が要りませんね♪
大事に残したい一枚が増えました。
湾曲補正しています。

 とても良いローパスレスの片鱗もこれだけ沢山垣間見れるだけに
とても元気がなくなるほどのショックも正直大きかったです。

 悪い作例を挙げる気にはとてもなりません。
だって決死の思いで買ったんですもの、辛さ悲しさが倍増してしまいますもの。

 まだ桜どころか梅も蕾のままの山形ですが
この購入の良い意味と悪い意味をどえらい高低差を含んだ大ショック、
どうしたら良いかの答えはしばらくかかりそうです。

 センサーと画質の素性の良さは充分過ぎる程痛感しました、やっぱ良いです。
レンズは、、、僕がRICOHの権限のある人だったら
部下を殴ってでもこんなレンズじゃ出すんじゃないと大きな声を荒げたかもしれません。 
今のA12ユニットのセンサーがこのセンサーに入れ替わったら
レンズの素性の良さからしても
間違い無く高評価で大絶賛になること請け合いなんでしょうね。

 期待でしょうか、自分で買ったものの後悔を認めたくないのでしょうか、
良さの素性を味わってしまった代償の授業料、勉強料として納得してしまったのでしょうか。

 何ででしょうか。。。
本当は不満タラタラなんですけど。。不思議です。

 とりあえず心を鬼にして言わせてもらいますと
現在検討してらっしゃる方には余程の理由が無い限りお勧めしません。
僕は半分後悔しています。

 なのにキライと言い切れない自分がいます。
ほんと、これ、何ででしょうか。。。。
素晴らしさを発揮出来るほんと限られた画角域と絞り域限定カメラとして
何か秀作を残してやろうというドM体質があるのでしょうかね。

 

そうは言いつつも、ローパスレスも出揃い始め、
高精細高画質元年なデジタル革命の第2ポイントな昨今ですが、
この先はきっと、「何で撮るかではなくて何をどう撮るか」
に気持ちも選択も投資も行き着いている人だけが
秀でて行けるデジタルフォト時代なのかもしれませんね。

 本当は決死の思いの約4万円だけど
D800EかD7100か、FUJIFILMのXか、決めかねている為の授業料としては
相当怪我が少なかったと言えるのでしょうかね。
レンズの件が想定外でとてもショックでえらく凹んでいます。

 良過ぎるんですよ、中心部だけに限って言えば
線も色も階調も描写トータルで何もかもうっとりする程好印象ですから。
中心部に限って言えば。。。
広角側を除いた限られる画角で言えば。。。

RICOHのGR系の名の付くカメラをひとつ愛用すれば誰しもわかるように
素晴らしい剛性と作り込みと筐体の質感、
GXRも操作性の良さや融通きくカスタマイズやファンクション設定、
ジョグの使い易さやダイレクトメニュー、
フルプレススナップの距離を任意設定出来ての速写性、
ファームアップでの水準器のあおり表示追加や言い切れない程の痒い所に手の届くものあり、
写真愛とカメラ愛のある作り手が
プライドとユーザーを愛し磨き上げた良い所を挙げればキリの無いカメラでもあります。

 今回は強いガッカリもありましたが
それでも身を張って擁護したい素晴らしい点が沢山ある事も判って頂ければ幸いです。




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追記
A16を導入したのが22日、
今、追記を書いているのが29日で1週間が経ちました。
その後連日撮る撮らないを別にしても持ち歩き続けてみました。

 

そして
受け入れる覚悟が出来た気がします。
撮れた成果とか、撮りたいものとのシャッターの打率とか
そんなに効率の良いものではない事を受け入れて長く付き合うかもしれません。
湾曲も、広角端の周辺の甘さも、暗いF値も、全部受け入れて付き合おうと思います。
何も持たずに散歩する位ならば
GXRのS10かA16をカバンに潜ませるか、首から下げて行こうと思えるようになりました。
出会ったビビビでも、始めて手に取った時の衝撃でもなく
これしかないといったものでもない、ゆるい切っ掛けだけど。

 思わぬ事から同じボディーが2つになったから
ひとつは売却しちゃおうと思いましたが思い留まりました。
 S10からストラップとEVFを外し、
ポッケかポーチか鞄のポケットに入れてワンハンドスナップカメラとして
A16には下部の出っ張りからしっくり付かない純正ボディージャケットだけど
無理矢理付けても不自然さも違和感も無いし握りも良いし
ストラップに下げEVFを構えて両手で握って撮るカメラとして
2つのスタイルで使って行こうと思います。 


投稿日:2013/03/24