デジタルでのモノクロ


      デジタルでのモノクロ表現って

もしかしたらフイルムより面白いんじゃないかと

ふと思う時が時々ある。

 

 もちろんフイルムならではの豊かなラチチュードと

雑味さえ味や趣きと言えるトーンやテイストは

フイルムならではというのは、この先も不変であるのは否定の余地はないし

僕もそう思う。

それには色んな要因や起因する事が沢山あって

フイルムフリークなら一晩やふた晩では語り尽くせない事でもあるだろう。

そしてそう言う話しも、この先も伝承して欲しいし僕も聞きたいし浸りたい。

 

でも

デジタルでのモノクロも面白いなぁって作っていて思うんです。

 

 それはデジタルな事や素子自体はカラーとして受光していて

フイルムでは不可能な

フイルムなら撮影時のフィルターワーク、

フイルムのチョイスと焼き加減でしか得られないものを

デジタルなら色温度によるフィルターとは違うトーン作りや

モノクロで仕上がる前提を想定してのカラーフィルターワークも

段階的なものでなく微妙で微細な所までとことん拘れる事、

色被りや色転びを利用する事も

デジタルでの撮影時の露出決定と

カラー時の露光差と彩度によって輝度彩度のピークポイントが違う事とか

デジタルでのカラーを理解すればする程

デジタルでのモノクロがフイルムよりも面白い表現として

可能性が見えて来るから深い。

 

 フイルムも深いけど

デジタルも一定の楽しみと利便性だけから一段上に逸脱して

フイルムだと荒らさないと生めなかったトーンを

デジタルならつるんとしたテイストでも生めたりするから

フイルムに無い新しいモノクロってこれから先の時代に

ようやく生まれるというかゆっくり定着するんだと思う。

 

 今

デジタルでモノクロ表現している人の多くは

過去のフイルムのシュミレートに過ぎなく、

手間と予算と打率と瞬間を逃さない事さえなければ

デジタルモノクロの人もフイルムでやるはずだ。

ラフモノクロームが

ミラーレスのアートフィルターシュミレーションで注目され

多様する人も増えていたりが良い例かもしれない。

 

でも僕は、

デジタルだからこそ

柔軟に

カラーがあるからモノクロにした時にどうトーンが生まれるかの

カラー前提で受光するから最終形を描いて

デジタルならではのフイルムでは出来ない前提条件で表現される

そこまで判っていてカラーで撮れるカメラで生み出すモノクロにも

きっと

この先の可能性と

フイルムでは味わえなかった新しいモノクロの味って

まだまだ引き出しの余地は相当あるはずで

今からの時代や現在進行形で写真表現して行くには

課題でも挑戦でもなく

普通に自分の写真遊びや写真表現のひとつの引き出しとして

色々試行してみたり

自分だけの手法を生み出して行けたら良いなと思うのです。

 

      保守的でなく

王道でなく、使い古されたものでなく

色が邪魔で逃げる為のものではなく

 

 デジタルでのモノクロは

カラーよりもハマってしまうと深くて

 

 デジタルのモノクロは

どこまでも

作るセンスと見るセンスがあるとするならば

フイルムよりも終着駅が遠く

延々と追求したり楽しめるものの可能性を

僕はとても感じます。

 

 だからと言って

シグマやライカのように線とディテールに特化した

ローパス無しの刺さるほどの描写ツーツを選ばなければならないのか、

とは、あまり思わなく、

かつひとつのジャンル化されつつあるハイエンドコンパクトが良いのか

とだけ思うのでもなく、

今ある普通のカメラでも

カラーがモノクロになる時の

色のある時点の輝度と彩度と色調と色相のカラー把握が出来る人であれば

フイルム時代よりもツール限定が無いとも思えるし

覆い焼きや焼き込みも

デジタルならカラーをとことん把握しているべきである。

 

 これからのデジタルでのモノクロは

どんなツールチョイスかではなく

どこまで写真の術の端々まで

興味と理解と把握を出来ていて表現するかの時代に突入して来たのではないだろうか。

 

 

  写真はフイルムだデジタルだの差や

センサーや特化した部分があるかどうかだけでなく

カラーもモノクロもフイルムもデジタルも全部ひっくるめて

印画紙になるところまででなく

その先の見せ方の表現も媒体も発信環境と普及の手法も

まだまだフレキシブルな余地がある。

 

 もちろん、今日までの歴史と文化と

侵してはならない大事な根底や

守るべき事、伝承し続けるべき事を大事にし、大事に把握し

過去の文化を知り、尊重し敬意をもち

そのうえで

今の、この先の、未来の

可能性の幅、表現の幅、引き出しを、手法を

どんどん無限に広げて行きたいものですね。

       

       


2013/02/10