「写真はプリントが最終形か?」

 

 写真はプリントが最終形さと、さんざん言われて来ている事は

もう言うまでもない事でもある訳ですが。

 

 本当にそうでしょうか、

全てがそうと言い切ってしまわない方が良い時も時にはあると思うんです。

 

 パソコン上やwebブログ、年賀状類の時節の葉書程度で

年間過ぎている人の方が実は圧倒的に多い昨今でもあるし、

人によってはプリントが最終形と言われる事にカチンと来る人も多いはずです。

だって大方がA4以上のサイズにプリント出来るプリンターを保有していないはずだし

ラボに毎月何十枚も何百枚もA3サイズをオーダーするとも考えにくい。

 

 それから

表現の形として、

これからは大型ビジョンに写し出すフォトショーとかが行なわれても良い気もするし

30インチディスプレイを壁に並べ時間で切り替える写真展が生まれても

時代を考えると良い頃だ。

それに写真集だってiPad版とかwebでデジタル配信がもっと多くなる事も考えられる。

 

 写真家さんの拘り、表現したいものから

用紙、印画紙の光の反射や色やサイズ、額装まで拘ってこそ、と言うのに

もちろん否定は無いのだけれど、

じゃぁ、仮に僕の写真よりも支持の無い一枚を

どんなに立派に仕上げたところでどうなのよ?って話しでもあるし

僕のバイブルになっている刺激的な写真家の作品は

ノベルサイズの本だったりする事もあります。

また、時に、自分の一生を変える一枚が月刊誌の1ページだっておかしく無いし

全然悪い事ではないはずなのです。

 

 大きく見せる、立派に飾るだけが胸を打つとは限らない

そう言う話しを今回このノートでしたくていました。

 

 吟味する、精査する意味でプリントはもちろん大事。

 

 でも、いつまでも

どんな形であろうが見え方であろうが

後世に残るものは

 

撮られた瞬間にレンズの前にあったものが最高である事

 

 そんな事ではないだろうか。

 

 着飾る事を常の前提にすると

見せ方でごまかしたり魅力をパワーアップさせる悪い癖が付くような気がするのだ。

 

 僕が額縁のないパネル的なものが好きなせいもあるけど

なんか額装でが時々、、お仏壇の写真に見える時とか

逆に写真の広がりや注視させるものをスポイルされてしまっている

変に悪い例が多いせいもあるのかもしれないけれど。

 

 プリント、印画紙は

間違いなく目にも心にも優しいし素敵だし見て疲れないもの

見せ方の工夫や拘りやアピールで素敵も演出出来る事もあるし

出来るだけそう見せられたらイイナともちろん思う。

 

 芸術だ、アートだ、確かにそう。

僕も写真展をするし、凄く判るけど、すごくそう思わない時もあるの。

 

 そう思わない時の大半が

アマチュアさんのブログとかでこの最終形の話しを読んでしまった時に多い気がします(笑)

 

 でも、大きな震災で多くの人が痛感した紙に残る写真の偉大さ、

この事は、この先もとても大きく深く考えて行きたいものでもあります。

 

 そして、その一方で

これからの新しい見せ方もこれまでと違うものもこれから生まれて欲しい気もします。

暗転したブースに浮き上がらせる写真展や、

スライドショー的に見せてゆく組写真的な見せ方の表現も生まれて欲しい。

 

 新聞とテレビが情報だった昭和ではなくなって来ている事

大きな場所でないと見せる事が出来ないのではなくする事も考えなくてはだし

5枚6枚では伝えられないものを見せる方法を考えたり環境や集客を考える際には

また別の嗜好も本来の最終形は尊重継承しつつも

色々な最終形を試みる事もこれからは大事だと思うのです。

 

 最終形と決定付けないだけで良いのかもしれませんね。

残す意味と意義と目的と、見せる形、表現のセンスの間口を広げる意味でも

何でもそうだけど決定付けるだけでない柔軟さは持っていたいものです。

 

 Webで沢山支持を受けたのならば

添えられたキャプションも含め感動のピークはそこにある訳で、

そこから、こんな感動する写真だから多くなプリントで見たいと見せてもらった時に

初見の感動のピークはあの時感動した事のそうこれこれと言う確認作業になるのだし。

 

 誰かに見せる最初のスタートがプリントなら間違いないのだが

発信の最初がネットやデジタルパネルからだと、この最終形のインパクトは

これまでと違って来る事もこの先は考慮が必要な時もあるって話しなんだと思います。

 

 

 写真展規模で見せる機会が無い事で

写真表現をあきらめる事を

最終形にしない事が時には一番大事なのかもしれません。

 

 それと平行して

それがデジタルデータで終わってしまう事や

未来へ残せる消えないものとする保管バックアップまでも含めた

ノートでは語り尽くせないものな事も

この先も考えて行きたいものですね。

 

 

 

 

 

 

 

cozy

2012/07/14