デジフォト6月号巻頭「da.gasita 2009」

僕の地元なんです

デジタルフォト6月号の表紙&巻頭の渡辺さとるさんの
「da.gasita 2009」は僕の町だったりします。
出て来る電車も学生の制服も駅も景観も普段僕がリアルで目にしていたりします。

渡辺さとるさんの「da.gasita」の意味については誌面のキャプションを読んで頂いてもらうとよろしいかと思いま す。僕も普段の会話で良く使っていたりします。山形の南端の片田舎を現す写真や懐かしむ思いにとても似合うなぁって思いました。ふるさととしてではなくて リアルな生活を送っている僕にもタイムスリップしちゃう不思議な錯覚があり新鮮でした。

そんな僕にも「da.gasita」が沢山あります。

僕の感じる山形県米沢市はまた色々と違って故郷ではなくて生き抜く地でもあるので思いの方向や感じる距離や深度がまた違って上京せずに拠点である視点での写真が沢山あります。
数日数分で振り返るのでなく、僕にはライブなので色んなものが見えています。

メインフォトとしたのが、その山形県米沢市を見渡した一部を切り取ったものです。
そして左の写真がそれを撮影した高台です。

基本的に一言で言えば何も無い町、そう片付いてしまうのですが、僕の写真の殆ど、クリピーにアップしている8割はこの地、もしくは周辺な訳でおのずと大都会や有名観光自然が近くにある人とは違うものとなる気がしました。

他にも沢山の山形県米沢市がありますのでフォトリストの中から色々見てもらえると嬉しいです。

魅力の中に心情を入れ易い光景

身近な中に強い刺激の無い町でもあるので、おのずと撮るカットは派手なインパクトや強烈なインパクトではなく、写真の中に埋め込まれたものを撮る、見る、引き出す写真になるのかなぁなどと今まで撮った写真を見返しながら思ったりしていました。

人からすればこんな素敵な素材が沢山あって羨ましいなぁと言われそうですが、写真として人が鑑賞する写真として撮るにはとても難しくもあります。
僕のシャッターを切る一枚目はいつもそんなこの地の引き出しの難しさでした。

思いでならば簡単なのだけれど

故郷の感覚ではなくてライブに生きているなかで写真を撮るにも一枚のカットに納めるには要素や何を込めるか、写真に内包されるものを考える訳で、常日頃、ついつい作品にするには地味だし強烈なインパクトに悩んでしまいます。
ついつい他県や旅行して写真を撮りたい衝動も出ます。
でも、有名地や銘景は良いなぁと思うとどこかで見た事があったり撮影定点が定番となり奇麗、素敵ではあるけれど誰かが撮った、誰でもとれる景観である悩みも逆にあるので僕は、それを逆手に意固地にこの街を撮り続けているような気もします(笑)

数分でこの光景に出会える

確かにそうなんです。
右の写真もまさに朝起きて車で10数分信号5つクリアすればこの景観の所に登れますし勝手に自然は飛び込んで来てくれます(笑)
でも、その光景をどうとるか、自分でも毎回毎回新鮮な素敵さは感じますが逆に毎回苦戦しているのはパッと見のスケール感が小さな町だけに無い事と写真に一番大事な奇麗だとか素敵だとかではない、人の息吹感や空気感と生活感、風情を合わせた時に自分が感じる事ではなくて、見る人にそれが見えるかである訳なのです。

一番難しい題材かもしれない

自分が見るだけの記録ではなくて人に見せ、魅せる写真をこの身近な光景から記録履歴ではなくて作品とするには、光景から与えられるものを模写するのではなくて自分の注視視点と切り出し引き出す観点が難しい大事なものになって来ます。

それが撮影意欲というか、身動きの取れない日常から何か素敵を引き出したいといった要因に良い方向になっていましていわゆる大風景、広角風景ではない左の写真のようないわゆる小風景だったりします。

風景=広角、この感覚は僕にはあまりなくて注視要素の高い効果のある縦構図の魅力もこう言った環境が撮影スタイルとなって来た要因かもしれません。

広角でも縦構図の町

そんな、この街から離れた時が無くても
思い出というのはあるもので、嫌な過去も想い出も
写真として昇華する事で想い出と生活の距離感をも変わって来ますね。

写真を撮れる光景は
目に見えるものだけではなくて
自分の思いや意思や意図を写真に入れられるか
そんな事を教えてくれたのも
もしかしたらこの町かもしれません。

これからもこの町は 僕に撮っては想い出ではなくて リアルライブである

これからも

僕のメインフォトの中心は
どう考えてもこの町であるのは間違いなくて

とても難しくもあるけど
なかなか面白いものを見つけるのは大変だけど

だから面白いのかもしれない。

この町と

写真を撮る事で

そこから新しい何かを見つけ

写真を撮らない時の何かまで

写真を通じて教えてもらえてる気がする。

2009年5月23日